驚がくの老けっぷり! 32歳、美人女優なのにまるで80歳の老婆
「愛の讃歌」など、数々の名曲で世界中を魅了した伝説の歌姫エディット・ピアフの生涯を描く伝記ドラマ「エディット・ピアフ~愛の讃歌~」が明日公開される。本作で一番注目すべきところは、ピアフを演じるマリオン・コティヤールの演技。
とにかく、すさまじいまでの迫力。映画業界では、『Ray/レイ』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したジェイミー・フォックスを超えた演技と、アカデミー賞主演女優間違いなし! の声が聞こえている。
マリオンは、正当派美人。この彼女がまるで存在を消したように47歳で重病を患って亡くなるまでのエディットに成り切る。47歳といっても薬中毒と病気でやせ衰えたその姿は、まるで80歳か90歳の老婆のように見える。32歳の正当派美人女優の顔は完全に消え失せているのだ。
マリオン自身かなりエディットに尊敬の念を抱きすぎ、なかなか鬼気迫る演技ができないとの悩みを持っていたらしいが、その思いを一度ぬぐったとき、この神がかりな演技が生み出されたようだ。
監督のオリヴィエ・ダアンは、最初からエディット役はマリオンに決めていたようで、形式上のオーディションはしたもののエディットを演じるのはマリオン以外に考えられなかったという。
マリオンの演技を見るだけでも一見の価値がある本作だが、それ以上にエディットのその力強い生涯は知っておく価値がある。
『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』は有楽座ほかにて全国公開
ミラ・ジョヴォヴィッチ最新作が全米興行収入第1位に
全米で9月21日に公開された『バイオハザードIII』が21日から23日にかけての週末の興行収入として2367万8580ドルを記録し、初登場で1位になった。公私共にパートナーのポール・アンダーソン監督、ミラ・ジョヴォヴィッチ主演によるシリーズ第3作の公開第一週の週末興収は、前2作を上回る好成績だ。
8月2日に同作のための来日記者会見にマタニティ・ドレスで登場し、報道陣を驚かせたミラは現在妊娠中。当初は「こんな大きなお腹でプロモーションしたら、映画にとって逆効果かも?」と気にしていたそうだが、封切り前日の20日に行われたラスベガスでのプレミア上映にも元気いっぱいで出席。
アンダーソン監督にとってもミラにとっても初めての子供の性別は、すでに女の子と判明している。出産予定は11月。11月3日からの日本公開と愛娘誕生が重なるかも?
事件の真相の衝撃に匹敵する恐怖とは? 『パーフェクト・ストレンジャー』
“あなたは絶対騙される”という挑発的な謳い文句に「騙されまい!」と思わず身構えて観てしまいそうだが、誰が犯人かという真相だけが『パーフェクト・ストレンジャー』の見どころではない。
ハル・ベリー扮する主人公のロウィーナは、幼なじみの死の謎を追い、最有力容疑者である広告代理店経営者に近づく。だが、事件を追えば追うほど、彼女の味方であるはずの同僚や無関係に見えた恋人など、意外な人物が容疑者として浮かび上がってくる。
ある本に「恐怖とは、全く未知のものに対峙したときではなく、よく見知っているものが、自分の認識とは異なる姿を見せたときに感じるものである」とあったが、この映画で提示されるのは、まさにそんな恐怖。捜査の過程で、彼女がよく知る人物がかぶっていた仮面が剥ぎ取られ、裏の顔が露わになっていく。だが、本当の姿を知ることは、その人物との距離を縮めることを意味しない。むしろ知れば知るほどに“違和感”という名の距離と恐怖が生じ、ロウィーナは“見知らぬ他人”の輪の中に突き落とされていくのだ。
ロウィーナもまた、容疑者に近づくためにネット上に偽名のアカウントを持つことで、自ら“他人”になりすまそうとする。パソコンを「私のお守り」と言う彼女のセリフが象徴するように、全編を通じてインターネットが大きな役割を果たす。しかし、本作が提起するのは“ネット社会における匿名性の持つ危険性”といった単純な問題ではない。ネットによって、人々が秘密や嘘を持つ手段が増大したのは事実だが、そもそも秘密や嘘を持たない人間などいようはずもない。ここで脅威をもって描かれるのは、我々は、誰もが持っていて然るべき暗部をも暴く手段を手に入れてしまったという事実である。
よく知る身近な人々の、知る必要のなかったはずの本性。知ってしまえば決して前と同じでいることはできない――。物語を通じて描かれるこの“よく見知ったはずの存在が見せる異形”という恐怖は、ラストで明らかになる真犯人や事件の真相の衝撃に勝るとも劣らないインパクトをもって、我々の心に迫ってくる。
「シッコ」は日本人に受けるか!?
医療問題話題作との前評判の高かったマイケル・ムーア監督「シッコ」は、もしかすると日本人にソッポを向かれてしまったかもしれません。
封切り初日の8月25日(土)、満を持して川崎にあるチネチッタに早速出かけました。さぞや長蛇の行列かと思いきや窓口も劇場もガラガラで、拍子抜けでした。定員532名の比較的大きな画面があるシネ8でしたが、上映5分前になっても閑古鳥が鳴いていました。
封切り日のみでは興行の行方は判断できませんが、内容は、米国の医療制度の見直しを提案するもので、日本人からすれば「何を今さら」といった感が否めません。「医療関係者は絶対に、絶対に、観てください!」とのキャッチフレーズはアメリカ人に向けたものであり、日本人向けではないようです。
健康保険とは何か? 医療とは何か? 国民の幸せとは何か? を問う話題作との前評判でしたが、アメリカの医療制度を単に紹介した内容で、目新しいものは何もありません。
アメリカで国民皆保険が普及しない理由は簡単です。
1.相互扶助の精神がない
開拓精神に基を発するアメリカ人は、まず個ありきで他人は二の次。「何故私が他人の面倒をみなきゃならないの?」と大多数の人が思っています。銃社会であるアメリカは、深層心理としてわが身は自分で守るという意識が高い国民性です。
2.金持ちと貧困層の格差が大きい
富める者は、豪邸に住み、豪華な晩餐を食し、最新鋭で高度な医療を受け、家族に囲まれ幸せな日々を過ごす。これこそアメリカンドリームで、アメリカ人が好んで使う言葉です。多民族国家であるアメリカでは、ヒーローが話題になります。貧困から富を得た人だけが味わう征服感こそ彼らの原点です。この意識は、中産階級が多い言われる日本人にはわかりません。
3.現行医療制度で、ほとんどのアメリカ人は不都合を感じていない
お金持ちはフルインシュランスを選び、最高度の医療サービスを得ています。また米国では大手企業に就職すれば、会社が保険に加入、家族を含めて病気や事故などの際手厚い保障が受けられます。社員の医療保険の高騰が企業経営に重くのしかかっているといわれる所以です。この格差を是とするか否とするかは国民が選択することです。
4.アメリカの私的保険はビジネスそのもの
保険内容が細分化されればされる程、サービス内容に制約が加わります。日本の自動車保険でも現在はサービスが細分化し、どのサービスを選択するかは被保険者の自由です。事故が起きた時に、救急車利用の許可が必要・指定した医療機関でなければサービスが受けられないなど様々な問題提起? がなされていますが、保険の内容は全て保険金額で決まります。保険もビジネスであることを念頭に入れるべきです。
5.国民皆保険の国が社会主義国家と思っている国民
ヨーロッパ・フランス・ドイツなど多少の差があっても国民皆保険制度です。「皆保険=相互扶助=社会主義」と誤解しているアメリカ人が多いのではないでしょうか。ムーア監督には日本の皆保険制度を取材して欲しかったと思います。
他国は例はそれはそれとして、日本の皆保険制度は大きな曲がり角にきています。年々膨らむ医療費に、国はその抑制策を取ろうと躍起です。財政が安定しない限り皆保険制度を維持できません。シッコを他山の石として、日本のよき国民皆保険制度を継続して欲しいとつくづく感じさせられる思いでした。
(記者:宮本 聰)
第64回ヴェネチア国際映画祭:初日から衝撃的な映画で記者会見が楽しみ!
第64回ヴェネチア国際映画祭が8月29日、ヴェネチアの南にあるリド島で開幕した。開幕式には、オープニング作品である英国映画『Atonement』(原題/ジョー・ライト監督)に主演したキーラ・ナイトレイをはじめ、共演のヴァネッサ・レッドグレーヴや、審査委員長であるチャン・イーモウ、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥらが参加。繊細なレースのドレスに身を包んだキーラがレッドカーペットに登場すると、「キーラ! キーラ!」の大合唱が起こり、キーラも笑顔で握手やサインに応じていた。
今年、日本からはヴェネチア・マエストロとして招待された北野武監督の『監督・ばんざい!』をはじめ、金獅子賞を競うコンペティション部門に三池崇史監督の『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』、前衛的な作品を上映するオリゾンティ部門に青山真治監督の『サッド ヴァケイション』が参加。さらにジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、ユアン・マクレガー、ジュード・ロウら錚々たる面々がヴェネチアに顔を見せる予定になっている。
意外と知られていないことだが、実は映画祭が行われているのは、いわゆるヴェネチア本島ではなく、船で10分ほどのところに位置するリド島。ここは『ベニスに死す』の舞台で有名なビーチ・リゾートで、観光客でごったがえす本島に比べるとかなりのどかな雰囲気。しかし、そののどかさを全く忘れさせる、衝撃的な映画をいきなり初日から観てしまった! これは明日の記者会見がすごいことになりそう。